自分がよく使うエフェクトのひとつに「ミニチュアライズ」があります。
実際の風景が、あたかもミニチュア模型で再現したような印象の画像として記録されるこの機能、GRシリーズでは、GR/GR IIに搭載されています。
ミニチュア風の写真は何年か前に流行した頃と比べ、最近は見かける機会がすこし減った気もしますが、これらの写真が醸す、手をのばせば自由に動かせるような、もっと言うと、何かと世知辛い俗世間も、おもちゃの街の中の出来事に見えてくるような、ほっこりした雰囲気が好きです。
実はリコーのカメラで「ミニチュアライズ」を初めて採用したのはGRではなく、2009年発売のCX2というモデルです。
このモデルは自分が商品企画として最初に担当した機種ということもあり、画作りやユーザーインターフェースについて、当時の開発やデザイン部署のメンバーと議論したことを懐かしく覚えています。
「ミニチュアライズ」画像はデフォルトでも彩度が高めになるように設定されています。
遠くのものより、近くにあるものの方が、大気の拡散の影響が少ないために、彩度が高く見えるからなんです。ミニチュア風に見えるのは、ボケの効果だけでなく、彩度が与える印象操作も一役買っているのです。
ホームに進入する列車が適度にブレるシャッタースピードで撮影。シャッターチャンスに集中するためRAW形式で記録し、ミニチュアライズ処理は後からカメラ内現像で実施しています。
GRでミニチュアライズ撮影するときのコツを少々お伝えします。
28ミリ相当の画角を持つGRでは、そのままだと撮影範囲が広過ぎてしまうことがあります (実際にジオラマやドールハウスを撮る時、ワイドレンズはあまり使いませんよね)。
こういう時は、撮影時には「クロップ」を、再生時には「トリミング」を活用することで、画面内の情報量が絞られ、かえって見やすい写真になると思います。
後ろの帆船ではなく、あえて脇役的な建物に視線を誘導するように、ボケ位置調整やトリミング処理をしました。こうすることで細部まで作りこまれたミニチュア細工に見えてきませんか?
さらに、RAW撮影もお勧めです。
GR/GR IIのカメラ内RAW現像では「彩度」や「コントラスト」のほか、ボカさずに残したい部分の「縦横切替」「位置」「幅」をモニターで確認しながら調整できますので、撮影時にはシャッターチャンスに集中し、加工は後からカメラ内RAW現像で実施、ということが可能です。
いかがでしたでしょうか。
あまり使っていなかった機能も、久しぶりに使ってみることで新しい発見があるかもしれませんね。
(あらいた)