まっすぐ構えて撮るスナップ-トリミング活用編-(あらいた)

2020.12.23 BLOG

あらいたです。

以前にこの記事で、被写体に正対して垂直にカメラを向けることが、縦横のラインをまっすぐに描写するコツとお伝えしました。

とは言え、大きな建造物を地上から撮影する際は、レンズを上に向けてカメラを構えることがどうしても多くなることでしょう。
これでは、高い建物ほど微妙に上にすぼまった形状に写るということになります。

特にGRに搭載されているような広角レンズですと、やや強めに遠近強調(パース効果)が出ますので、被写体の形状を重視する撮影の場合は注意が必要です。

GR III, P mode, 1/800s, F5.6, ISO800,

上の写真は、アムステルダムの運河沿いの集合住宅をGR IIIで撮影したもの。
地盤沈下の影響でしょうか、ところどころ窓枠が歪んでいます。

ここではブログ用にリサイズしていますが、元画像の縦横画素数は3360x2240。
これ、GR IIIだと50mmクロップでの記録範囲と同じですが、あえて撮影時のクロップ機能は使わず、再生時に「画像編集」メニューの「トリミング」で切りだしています。



トリミング前の画像はこれ。

メインのモチーフとしている建物は、画面の上方にちょこっと写ってるだけ。(しかも半分から下に見えているボートは、まるで構図が整理されていない!)

冒頭の鉄則通り、カメラを上に向けることなく、被写体に対して水平・垂直に撮影すると、おのずとこのようなフレーミングになってしまいます。

でも、これでいいんです。
幸い、GR IIIは約2400万画素という高精細なセンサーを搭載しています。
建物部分を切り出しても約750万画素もありますので、A4サイズくらいまでのプリントであればじゅうぶんに耐えられる画質です。

今回の場合は、オランダの伝統的な家屋建築を、2次元のイラストのように可愛らしく描写したい意図から、このような処理としました。
垂直を意識させる構図にしたことで、かえって微妙な線の歪みがユーモラスに表現できたと思います。


***
と、ここまで読んでピンときた人もいるでしょう。これはGR IIに搭載されているシフトクロップ機能と考え方は同じです。

このテクニックは、テーブルに置いた小物など、目線より低い位置の被写体を撮影する場合にも有効です。

この記事で使用したGR III Street Editionのプロダクト画像は、別のGR IIIで撮影したものを掲載しています。

GR IIIではトリミングサイズが長辺3840以下であれば、Fnボタンを押すことで、ご覧の画像のように縦位置画像から横位置で切り出すことだって可能。

画面いっぱいにアップで迫りたい気持ちを抑え、カメラをなるべく垂直に保って撮影することで、対象物が下すぼまりになるのを防ぐことができます。

画面のかなり隅っこで、レンズの解像性能が試される位置を切り出していますが、画質の破綻は見られません。GRの光学系の実力は確かなものです。


(あらいた)

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