GRシリーズには、撮影のために使う機能に加えて、撮り終えた画像の仕上がりを調整する機能も数多く搭載されています。
特に、GR IIIx および GR IIIの最新ファームウエアでは、[再生設定]→[画像編集]から[トリミング]を選択すると
・ADJ押下で、4:3や16:9のアスペクト比選択も可能になった
・DISPボタンと前ダイヤル操作で、画像の傾き調整が可能になった
と、さらに作品作りに役立つ機能も充実しました。
でも、機能が豊富すぎて、どれを利用すれば良いのか迷ってしまうという人も多いかもしれませんね。
そんな時は、お気に入りの作家や作品をお手本にして、それに近づけるというアプローチを検討してみてはいかがでしょう。
ということで 今回は、カラースナップの先駆者にして今も人気の高い写真家、ソール・ライター (Saul Leiter) の作風をイメージして撮影・仕上げ処理を行った写真を紹介していきます。
文末には、RAW現像のレシピとトリミング前の画像も掲載していますので、参考にしてみてください。
それでは、スタート。
GR IIIx, P mode, 1/125s, F2.8, ISO200
まずは、お約束の赤い傘。ソール・ライター作品を象徴するアイテムですね。
いつか同じ場所から雪景色を狙いたいなあ。
実はこの写真、慌ててカメラを構えたこともあって、元画像の構図は文末に載せた通り、ちょっと残念なものとなっています。
トリミング時の画像回転機能を大胆に活用してみました。
GR IIIx, Av mode, 1/1000s, F2.8, ISO100
窓枠や飲食店のシェードなどを利用して、画面を大きく分割する構図も彼の写真の特徴のようです。
手前に視界を遮る障害物を配置することで、被写体を覗き見しているようなスリルや想像力を掻き立たせられます。
GR IIIx, Av mode, 1/30s, F5.6, ISO1600
通りの向こうの様子がマネキンのショーウインドーに反射、それがさらに赤い模様のウインドーに反射している、という位置関係です。ピントは∞に固定して撮りました。
前ボケ、複雑なリフレクション、赤や黄の色使い。ソール・ライターの特徴的な技法を盛り込んでいますが、いちばん注目してほしいのは、クルマの後ろにちらりと写る人物です。
「何も写ってないように見えて片隅で謎が起きている写真」に見えて来ますでしょうか?
(軽ワゴンでDVD返却に来ただけじゃね、とか言わない!)
GR IIIx, P mode, 1/320s, F4.5, ISO640
床屋さんの店頭にて。帽子はおそらくオブジェとして掛けられているもの。そういえば床屋さんもソール・ライター作品に多く登場します。
マゼンタ被りしたリバーサルフィルムの色調をイメージして仕上げました。
以上、恐れ多くもソール・ライターの作風を僕なりの解釈で再現してみました。
ストリートスナップのレジェンドが撮る作品にどれだけ近づけたかはわかりませんが、1つ胸を張って言えるのは、これらの写真を自宅からの徒歩圏内で撮ったということ。
「神秘的なことは馴染み深い場所で起きる。なにも、世界の裏側まで行く必要はないんだ。」
ニューヨークの伝説的写真家が残した言葉のうち、このフレーズだけは忠実に再現できたと思います。
【トリミング範囲とRAW現像レシピ】
(あらいた)