GR meet 47で新潟に行ったとき、楽しみにしていることがふたつあった。
まずは久しぶりのリアルなイベントで、写真とカメラの力を実感したい。場の中心にカメラがあって、みんなで写真を取り囲んで、そこに笑いや歓声が起こる喜び。
GRを手に、被写体を探して街歩きしている後ろ姿を見ているだけでも、胸が熱くなるかもしれない。カメラはエンジンで、好奇心がガソリンだ。
もうひとつは、GR IIIxの40mmでみんながどんな写真を撮るだろうか。オンラインで見たことはあったけれど、40mmで被写体にアプローチしている様子や、自分が歩いた場所を他の視点で切り取った写真を見たことがなかった。
28mmはレンズが持っている個性が強い。フレームの中にあるものを全てコントロールするのは難しいし、それを諦めたところに醍醐味があって、28mmならではのダイナミックさと魅力がある。
でも40mmは先に心の動きがあって、それをどう写真に撮ろうかと考えていくタイプのレンズで、繊細な出し入れができる。個性を出すのは容易ではないが、そこの違いを読み取っていく楽しさもある。
写真を中心に笑いに包まれる感覚に、懐かしささえ感じながら、上映される写真の一枚一枚に心の動きが感じられて嬉しかった。
二つの視点を持ったことで、GRが奏でるメロディにハーモニーが加わった。交互にリードをとり、響き合い、強調していく。
会場にいる四十人もの人たちが、写真を通してつながっているのが肌で感じられた。この感覚がなかったら、今日まで写真を続けて来られなかったかもしれない、とさえ思った。
そこで今回は、自転車で長い距離を走るとき、なるべく荷物を軽くするためGRだけを持って行き、そこで撮った写真を選んでみました。春になり、GWが過ぎ、カメラを手に世界が広がっていく喜びを、みんなが感じていることを願って。
内田ユキオ(Yukio Uchida)
1966年 新潟県両津市(現在の佐渡市)生まれ。公務員を経てフリー写真家に。
ライカによるモノクロのスナップから始まり、音楽や文学、映画などからの影響を強く受け、人と街の写真を撮り続けている。執筆も手がけ、カメラ雑誌や新聞などにも寄稿。著書「ライカとモノクロの日々」「いつもカメラが」など。
現在は写真教室の講師、カメラメーカーのセミナーなどでも活動中。
www.yuki187.com/gr-diary