「ココ見て!」写真 (あらいた)

2022.08.02 BLOG

写真の入門書をめくると、「視線の誘導」について詳しく解説されているものが多いことに気づきます。

一般的なのは、被写界深度が浅くなる絞り値を選び、主題以外の要素を大きくボカすというものでしょうか。

その他にも、画面内の明暗差や配色(彩度差・色相差)に工夫を凝らしたり、S字構図・額縁構図といったフレーミングなど、画面全体から一部分へ鑑賞者の視線を引き付ける技法のバリエーションはさまざま存在するようです。

...などと、アカデミックな書き出しで始めてみましたが、今回の記事はそんなテクニックは無視して、なかば強引に視線を誘導する写真を掲載します。

GR IIIx, Av mode, 1/500s, F11, ISO400, Snap 3.5m, Positive Film

上の写真は、京浜島つばさ公園で撮影したもの。この場所は羽田空港にアプローチする飛行機を大迫力で眺められることで有名です。
フォーカスは3.5mに設定し、F11まで絞って撮影することで、手前の道路標識から旅客機までピントのあった写真になりました(パンフォーカス撮影)。

フォーカス固定の利点はもう一つあります。
ピント合わせのタイムラグが生じないため、撮りたい時にすぐシャッターが切れる。
とくに空の比率が大きい構図では、オートフォーカスは迷うこともありますが、GRのスナップ機構を利用すれば心配は無用です。

なお、撮影後のRAW現像で明瞭度をプラスして仕上げています。こうすることで、夏空の雲のモクモク感を強調することができていると思います。

とはいえ、上の写真で目が行くのは、標識の矢印でしょう。

GR III, M mode, 1/100s, F5.6, ISO160, Snap 1.5m, High Contrast B&W

古今東西、人々の注目を集めたい時に使用される記号は”矢印”。
街中でも、このマークが描かれてあれば自然とその先に目が向いてしまいますね。

この、ユニバーサルな記号をストリートスナップに利用するのも面白い試みです。

GR III, Av mode, 1/40s, F5.6, ISO100, Snap 1.5m, Positive Film

おそらく、どんな写真撮影のテキストにも載ることはない手法ですが、自由に撮って、自由に愉しむのがスナップ写真の醍醐味です。
型にはまったお作法通りにシャッターを切るだけじゃつまらない。

画面から「ココ見て!」って声が聞こえてくるような写真。
ちょっとユーモラスで素敵じゃありませんか?


(あらいた)



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