こんにちは、朝倉です。
「GR meet 47」の第14回目、福井会場(12月17日)のレポートです。
ゲスト写真家は赤城耕一さん。
以前、福井県内の大学のお仕事で何度か足を運んだことがあり、久しぶりの福井再訪。そして、三国町は初めてとのことでした。
会場は、福井県坂井市三国町にある「マチノクラ」。
三国という場所は海運で栄えた歴史ある町で、その当時の名残りがある古い建物や文学にゆかりのある場所が残る素敵なエリアで、マチノクラも当時は海から運ばれてきたものを保管する倉庫だったとのこと。建物は綺麗にリノベーションされていますが、元々使われていた支柱などが残っていて、今は海運と文学の歴史を伝える資料館になっています。
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会場として使わせていただいた「マチノクラ」。12月の北陸はやはり寒く、昔ながらの石油ストーブがありがたかった。
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敷地内の入り口にはマチノクラの方が作ってくださった、“お手製看板”が。
最初のオリエンテーションを終え、いざ、撮影会へ。
北陸の冬は雨が多いよーと聞いていましたが、この日はまさに北陸の冬らしい雨模様。「晴れ男」で有名な赤城さんも、「今日は僕の力も及ばなかったかー」と言いながらも、雨の時しか撮れない写真があるから、と、ポジティブに捉えていらっしゃいました。
時折強い雨が降る天候で心配をしていましたが、撮影会の時には雨が弱まってくれたのと、三国エリアにあるいくつかの建物の中に入って撮影をすることができたので、あまり雨を気にせず撮影をすることができました。
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撮影会の出発前、さっそく参加者の方からの質問に親身になって答える赤城さん。
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マチノクラを出てすぐのところにある「旧岸名家」に立ち寄り。趣のある建物で、中に入るといたるところがフォトジェニックでした。
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歩いている途中に突然始まる「赤城道場」。こういう金属質のものが赤城さんの「好物」だそうです。
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「旧森田銀行本店」にも立ち寄り、皆さん思い思いに撮影。
GR official 管理人のまちゅこ。が以前、リコーアートギャラリーの仕事でお世話になったという「いとや提灯」さんにもお邪魔して、写真を撮らせていただきました。
いとや提灯は江戸時代から200年以上続く老舗の提灯屋さんで、全国でも数少ない一貫製造の提灯工房として、今も提灯づくりを続けておられていて、伝統的な提灯だけでなく、その伝統を守りつつ、インテリアやアートオブジェクトのような新たな取り組みもされています。
工房内やお店のスタッフの方の撮影も快諾いただき、提灯づくりについてのお話もしていただきました。
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お邪魔させていただいた「いとや提灯」さん。
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提灯の種類や古い提灯の修繕の仕方、提灯づくりを広めていくことについてのお話など、たくさんお話を伺うことができました。提灯づくりをされているところも撮らせてもらいました。
雨でグッと冷え込んだ中での撮影会でしたが、皆さん思い思いに被写体を見つけて、真剣にされているのが印象的でした。
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昼食をはさみ、午後の部は講評会からスタート。撮影会で撮った作品を1人3点提出して、参加者の方の作品を投影しながら赤城さんに講評いただきました。
マチノクラには超大型のスクリーンがあり、参加者の方からも「こんなに大きく自分の写真が投影されるなんて、なかなか経験できない」という声が出ていました。
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大型のスクリーンでの作品投影は映画館にいるような感じでした。
赤城さんは皆さんの作品を見ながら、「一番最初に反応したところはどこなのか」「何に惹かれてシャッターを切ったのか」「工夫したポイントはなんだったのか」など、お一人おひとりに話を聞き、コミュニケーションを取りながら、「この部分を入れたのがすごく効いている」「この視点がすごくいいね」「自分が惹かれた部分にもっと寄るとさらによくなる」「雨の日だからこそ撮れたいい写真ですね」などなど、アドバイスを交えながら講評をしておられました。
今回の講評会の作品の中から、いくつかご紹介します。
休憩をはさみ、続いてはスライド&トークのお時間です。
まずは、皆さんと一緒に歩いて撮った三国の作品を見せていただき、ご自身の「好物」についてのお話をされました。好きなものを撮るというのは写真の根幹にあるもので、何を撮ればいいかわからない人は、まず自分の好物を見つけて、それを収集することから始めるといいというお話をされました。
つづいて、「黎明期の写真 GRで撮影した現代の写真」というテーマでのスライド&トーク。
愛知会場の時にも同じお話をされていましたが、何度聞いても新たな発見があり、興味深いお話でした。
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スライド&トーク中の赤城さん。
スライド&トークが終わり、最後は懇親会です。
マチノクラに隣接する食事処の「三國湊座」さんにご協力いただき、お店を貸し切りとさせていただきました。
今回は福井県以外からの参加の方が7割近くいたということもあり、さまざまな地域の方同士での情報交流が活発にされていた印象でした。GRの話だけじゃなくて、写真を撮ることについての話もたくさんされていて、楽しいひと時となりました。
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懇親会の会場として使わせていただいた、マチノクラのお隣の「三國湊座」さん
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待ちに待った乾杯の瞬間。寒い一日でしたが、美味しい食べ物と飲み物で温かいひと時。三國湊座さんの名物「三國バーガー」もいただきました。
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参加者全員で恒例の記念写真。スタッフは2階席から。
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そしてこちらも恒例の「みんなのGR」。
最後に、赤城耕一さんのコメントと作品をご紹介します!
<赤城耕一さんより>
スタッフも私自身も、冬型の気圧配置のことを忘れていたようです。連日晴れの太平洋側とは真逆の気候の福井県は三国に行ってまいりました。
雪こそ積もることはありませんでしたが、曇天、かつ雨が時おりパラつく、冬の日本海側特有の天候。自称“晴れ男” の私は自信を喪失しました。修行しているような寒さでしたが、それでも気を取り直し、この時期だからこそ撮れるものがあると考えました。GRはコンパクトなのでコートのポケットの中で温めておき、ここぞという時にさっと取り出し撮影し、すぐに収納することが可能です。だから防寒対策は不要です。
三国は歴史ある港の街で、旧跡や歴史的な建造物も多いのですが、皆さんに最初にお話をしたのは「観光案内を作るための撮影をするわけではない」ということです。名所旧跡を撮影するなという意味ではありません。どんな被写体でもかまわないので、自分の解釈で、好きなものにレンズを向けてくださいとお願いしました。
参加された皆さんには、期待どおりのそれぞれの目で解釈したライブ感のある「三国」を見せていただきました。感謝でいっぱいです。
三国という歴史ある街を皆さんと一緒にたっぷりと満喫した一日。
冬の北陸での開催ということで、なかなか厳しい天候と寒さでしたが、それはそれで楽しむことができたのも関わっていただいた皆さんのおかげです。
ゲストの赤城耕一さん、マチノクラの関係者の皆さま、そしてご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!
またいつか、どこかの会場でお会いしましょう!
3月の開催予定については、近日お知らせいたします!
★Special thanks
マチノクラ関係者の皆さま
いとや提灯
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三国駅に向かう時に乗った「えちぜん鉄道」の切符。改札でパチンって切符を切られたの何年ぶりだろう。
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イベント前日に食べた「せいこがに丼」。
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笑顔で暮らせるまち。ほんと素敵な場所でした。
★これまでの「GR meet 47」
・GR meet 47関連一覧
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(朝倉)