こんにちは、朝倉です。
GR meet 47の第23回目、山形会場(7月1日)のレポートです。
ゲスト写真家は大和田良さん。
今回は山形県山形市の蔵王温泉にある「G-SQUARE」で開催しました。
この蔵王という場所、仙台出身の大和田さんは幼少の頃からスキーで訪れていて、写真家としても20数年来、ライフワークとしてこの蔵王の景色を撮り続けていらっしゃるという、大和田さんにとっても深い所縁がある場所。会場となった「G-SQUARE」も、大和田さんが蔵王を撮影する際の拠点として使っている「forest inn SANGORO」のオーナーが経営されている場所で、今回は特別にお借りすることができました。
目の前に蔵王のゲレンデが広がっているというなんとも素敵な場所です。
当日朝はまだ小雨が降っていた蔵王温泉スキー場。(一枚目)
会場となった「G-SQUARE」はおしゃれ空間でとても素敵でした。(二枚目)
一週間前までは雨予報でしたが、当日の朝にはなんとか雨も上がって、山の中腹にある蔵王温泉エリアは涼しくてちょうどよく、イベント日和な気候になりました。
最初のオリエンテーションを終え、早速、撮影会に出発。まずは会場から少し歩いたところにある酢川温泉神社へ。
大和田さんを先頭にいざ撮影会へ。(一枚目)
酢川温泉神社に到着すると皆さん撮影モードへすぐ切り替わって被写体探し。(二枚目)
酢川温泉神社の階段を下りていくと、蔵王温泉のメインロードでもある「高湯通り」に出ます。蔵王温泉に3つある”共同浴場”があるのもこのエリア。温泉宿や食べ物屋さんが立ち並び、風情のある街並みに、参加者の皆さんも夢中でシャッターを切っておられました。
”千と千尋の神隠し”に出てきそうな雰囲気の街並みがとても素敵でした。
街歩きに欠かせないのが、ご当地名物の食べ歩き。
温泉プリンにさくらんぼ、玉こんにゃくと、美味しそうな誘惑がたくさんあり、皆さん吸い込まれるように近寄って行って、写真とともに食べ歩きも楽しんでおられました。(スタッフが一番楽しんでいた気がします)
「蔵王 湯けむりプリン」、めちゃくちゃ美味しかったです。(一枚目)
玉こんにゃくを食べる大和田さんと参加者の皆さん。(二枚目)
温泉街を歩いていると、源泉が流れている川や手湯・足湯などの施設がいくつもあり、どこにいても硫黄の匂いと湯気が立ち込めていて、歩いているだけで温泉に入っているような気分を楽しめました。
足湯に入ってのんびり休憩中の大和田さんと参加者の方。
昼食をはさんで、午後の部は講評会からスタート。
撮影会で撮った作品を1人3点提出して、参加者の方の作品を投影しながら大和田さんに講評いただきました。
最初に大和田さんから「今日の感想や作品をセレクトした理由を教えてください」と参加者の方にリクエスト。参加者の方は思い思いに感想やそれぞれの作品に込めた意図をお話され、そのあと大和田さんからの講評という流れになりました。
大和田さんは、投影される作品を見ながら、参加者の皆さんのお話に対して、
「今回出した3枚以外にはどんなものを撮られましたか?」
「“形”に注目して3枚選ばれているけれど、普段からそういった”形”に目を向けて撮っているんですか?」
「ネガフィルム調を初めて使ってみたとおっしゃってましたが、実際に使ってみてどうでしたか?」
といった質問を投げかけつつ、一人ひとりの作品に対して、
「雨上がりの曇りというシチュエーションの中で、しっとりとした水の質感や今日の空気感がよく表現できている」
「写真を撮るときは被写体自体の造形に目が行ってしまうけれど、重要なのはそこにあたる光。それがしっかりと表現できている」
「見つけた被写体に対して、背景や画面内の情報をどう整理するかが重要。余計なものを省いたシンプルな構図にしながら、自分の表現ができているのが素晴らしい」
などなど、丁寧に、そして作品に寄り添った講評をされていて、その時々のアドバイスに参加者の方も「うんうん」「なるほど」と納得されていました。
講評中の大和田さん。
大和田さんのお話の中で特に印象的だったのが、
今日は蔵王温泉という場所での撮影会だったので、”蔵王温泉らしい”写真を撮るというのももちろん大切だしぜひ撮ってほしいけれど、場所や被写体にとらわれず、自分の視点をもった表現をいつでもできるというのは、写真を撮っていく上で非常に重要な感覚。どこに行ってもどんな被写体でもいつも自分の視点やトーンでとらえられる。自分なりのスナップ、自分なりの嗅覚を大切にして写真を表現していってほしい。
というお話。構図や撮影テクニックのような技術的なお話はもちろん、参加者の方の感覚的な部分に迫ったり、写真の歴史を交えたお話を聞けて、参加者の皆さんも満足されている様子でした。
今回の講評会の作品の中から、いくつかご紹介します。
休憩をはさみ、続いてはスライド&トークのお時間です。
大和田さんが20数年来撮り続けている蔵王の作品を見せていただきながら、蔵王という山の特徴やそこに生息する植物や生き物のお話、それぞれの作品を撮影した時の詳細なお話や作品にまつわるエピソードをお話いただきました。
大和田さんが蔵王を撮り続けるのは、誰かに頼まれたからでもなく、展示や書籍などの具体的な目的があるわけでもなく、幼少からずっと馴染みのある蔵王を、まさに”ライフワーク”として撮影されているとのこと。
特に冬の蔵王を長年撮り続けてらっしゃる中で、GRもよく使われるというお話も。冬の蔵王という過酷な環境下で「GRは壊れたことがほとんどない。-20℃でも全然大丈夫ですよ。」とおっしゃっていました。(スタッフはドキドキしながら聞いていました)
撮影会で参加者の皆さんと一緒に歩いた温泉街の写真もいくつか見せていただいたのですが、雪が深々と積もった景色は、同じ場所とは思えないぐらい全く違う雰囲気で、大和田さんも「季節や時間、タイミングが違うだけで、同じ場所なのに全く違う写真が撮れるのがスナップの楽しさ」とおっしゃっていました。
スライド&トークの中で印象的だったのは、”スノーモンスター”と呼ばれる蔵王の冬の代名詞「樹氷」についてのお話をされている中で、この樹氷になる木「アオモリトドマツ」の葉が落ちてしまった夏の写真を見せながら、
近年、この「アオモリトドマツ」の葉が、蛾の幼虫によって食べられてしまった。葉がないことで樹氷にも大きく影響が出ていて、氷のつき方が全然違って、小ぶりな”スノーモンスター”になってしまう。温暖化の影響で増殖した松を食べる虫の影響で木も減っていて、この「樹氷」が危機にさらされている。今回、GRのイベントで蔵王という場所に集まった皆さんにも、これを機会にそういった環境についても考えるキッカケにしてほしい。
とおっしゃっていました。
長年、追い続けている大和田さんだからこそ、とても説得力のあるお言葉で、写真を趣味にしている人にとって、被写体である街の景色や自然の風景があってこそ、写真を楽しむことができるんだなと改めて思いました。
大和田さんが長年撮り続けてらっしゃる蔵王の写真をたくさん見せていただきました。
スライド&トークが終わり、最後は懇親会です。
今回の参加者には、47に複数回参加されている”常連さん”が多くいらっしゃったこともあり、懇親会ではいろんな会場での思い出話をされていたり、まだ開催されていない東北エリアの宮城・岩手・福島はいつ頃だろうと予想をされていたり、「次はどこに行こうか」というようなお話もたくさん出ていました。
今回、夏の蔵王に来てみて、冬にもう一度訪れてみたい!とおっしゃっている方も多かったです。たしかに、一面雪景色の蔵王も見てみたいですね!
GR meet 47 に初参加のスタッフが、乾杯の音頭をとらせていただきました。
全員で記念写真。
恒例の「みんなのGR」も。
最後に、大和田良さんのコメントと作品をご紹介します!
<大和田良さんより>
山形蔵王という場所は、仙台で生まれ育った私にとっては馴染み深い場所で、高校生のときのスキー教室もこの地でしたし、小学生の頃には尾根伝いに宮城蔵王から山形蔵王まで歩くトレッキングが行事のひとつとしてありました。
なによりも、私自身が夏冬のアクティビティを楽しむために年に数度は訪れることもあり、自分の遊び場にみなさんが来てくれたような嬉しさと共に、今回のGR meetを楽しむことができました。
当日はぎりぎり雨が降るか降らないかといった曇天でしたが、その分緑が美しく、暑さにもやられない程度の、今思えば写真撮影には恵まれた天候だったと思います。
スナップというのは面白いもので、同じところを歩いているにも関わらず、それぞれの視点がずいぶん違うことに気付かされます。GRという小さく軽い機材によるスナップは、それをさらに特徴付けるように思います。
今回はふもとの温泉街を歩きましたが、機会があれば是非山上の景色も一緒に見られる機会あれば良いですね。
また次の場所で、みなさんに会えるのを心から楽しみにしています。
今思えば、大和田さんに前回GR meet 47のゲストに来ていただいたのは大分の鉄輪温泉で、今回は蔵王温泉…もしかして、大和田さんって温泉好き?(スタッフが温泉好きという説も)
とにかく、今回もまた素敵で楽しいイベントとなりました。
大和田良さん、そして今回特別に会場をお貸しくださったG-SQUAREの関係者の皆さま、そしてそしてご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!
またいつか、どこかの会場でお会いしましょう!
★Special thanks
G-SQUARE 関係者の皆さま
http://gsquare.community/index.html
翌日にロープウェイで登った蔵王山頂から見た景色。めちゃくちゃ気持ちよかった。
GR meet 47会場の「G-SQUARE」と同じオーナーさんが経営されている「forest inn SANGORO」にお邪魔してランチをいただいてきました。
初夏の空と澄んだ空気がすごく気持ちよかったです。
★これまでの「GR meet 47」
・GR meet 47関連一覧
https://www.grblog.jp/article/?tag-name=47
(朝倉)