日本最古の随筆集と言われる『枕草子』。
“春はあけぼの” の一節が有名ですが、作者・清少納言によると、秋の最も味わい深い時間帯は夕暮れ時とのことです。
GR IIIx, Sn mode (∞), 1/1600, F7.1, ISO400, Standard, Crop (3840x2560)
秋に限らず、どの季節も日没前後の時間帯は趣がありますね。
あたり一面が薄桃色から橙に染まり、やがて宵闇に変わるまでの夕空の美しさは、平安の人々が眺めた1000年前から変わっていないはず。
GR III, Sn Mode (3.5m), 1/100, F2.8, ISO200, EV-1.3, Positive Film
マジックアワーのころはさらなり(なおさら良い)。
清少納言が当世の写真家だったらこう言ってた...かどうかはわかりませんが、日没後のわずかの間、刻一刻と変化していく空の色はまるで魔法を見ているよう。
上の写真はフォトウォーク中の仲間を撮ったものです。燃えるような夕焼けをバックに佇む、若者達のシルエットが映えますね。
京の都で青春時代を過ごした古(いにしえ)の若者も、黄昏時に山の端を見つめて物思いに耽ったことでしょう。
GR IIIx, Av mode, 1/1600, F2.8, ISO200, EV+1.3, Standard
秋スナップはススキの穂などもつきづきし(ふさわしい)。
夕日を透かしたススキが金色に輝く野原は、郊外育ちの僕にとっては見慣れた風景。
放課後、遊び疲れて帰った幼少期の家路が思い出されます。
秋の午後に漂う、気怠さ・うら寂しさは、この頃の記憶が作用しているのかも。
さて、清少納言が感嘆した夕暮れ時の自然美を、1000年後の人類はまだ味わえることでしょうか。
秋の夜長、写真の整理をしつつスケールの大きな時間の流れに思いを巡らせるのも、いとをかし。
(あらいた)