GR III HDF & GR IIIx HDFについて Part 1 (大久保)

2024.03.28 BLOG

みなさん、こんにちは。
商品企画の大久保です。

本日発表させていただいた、特別モデル「RICOH GR III HDF」、「RICOH GR IIIx HDF」についてお話しさせていただければと思います。

このモデルは、従来のGR III・GR IIIxに光を拡散するフィルターである Highlight Diffusion Filter(HDF)を搭載した特別仕様モデルとなっています。HDFは画像全面のシャープネスを弱め、ハイライト部を拡散させる効果を持っています。これをGRに搭載させることで、瞬間的にフィルターを挿抜でき、やわらかい表現もコントロールできるようになります。


デジタルカメラの画質進化は解像力を上げ緻密な描写を実現させてきました。
一方でコントラストの低い柔らかい描写は画像編集ソフト等を使った後処理でできることもあり、カメラとしては優先度が低くなっていたと思います。

ここでいう柔らかい描写というのは、どういった描写のことなのか。美術館の絵画を見ていると気が付くのですが写真以前に絵画(宗教画)ですでに実践されていたことがわかります。
 
例えばヘラルト・ファン・ホントホルストの「キリストの降誕」(リンク:Wikimedia Commons)を見ると人物(ここでは神様)の周りを光で覆う表現が使われています。神々しさの演出に光が使われていて、そこには物語(ここでは聖書)が存在したわけです。

また、写真家では、夜のスナップの巨匠として知られるブラッサイ(Brassaï)。パリのスナップが有名ですね(リンク:WIKIART)。夜の街とそこで生活する人を印象的に描写しています。

このように光を使った柔らかい描写は物語を感じさせてくれるものであり、詩的でもあり、見る人の心を動かす何かがあると思います。

Photo by Yukio Uchida


GR III、GR IIIxは解像力の高いきりっとした描写力を持っています。そこに、ふわっとした優しい描写を加え、さらにシャッターチャンスを逃さないようにそのふたつの描写を瞬時に切り替えられるようにすることで、スナップ写真の表現の幅を広げることが可能になる。そんなGRを今回は提案させていただきました。

物語を紡いでいくことを考慮して、1枚の派手なインパクトのある写真になるものではなく、様々なシーンにおいて長く使っていただけるフィルター効果に調整しています。

1枚目:HDF OFF・2枚目:HDF ON/Photo by Yukio Uchida

そして、このフィルターは、リコーが長年培ってきたインクジェット技術を用いて印刷を施したものです。
HDFの技術詳細はリコーの技術ページ「デジタルカメラ内で“機能する”インクジェットプリンティング技術」を見てもらえたらと思います。


通常モデルのGR III、GR IIIxはレンズ鏡胴内にNDフィルターを入れていますが、そのNDフィルターの代わりにHDFを入れています。
FnボタンでHDFの出し入れができるようにしてあります。なので、このシーンは柔らかくしたいと思ったときにすぐ対応できます。

シャッターボタンをグレイッシュシルバーに

 
GRのイベントに参加した際、「GRのきりっとした描写もいいのですが、柔らかい写真も好きですね」とオールドレンズが付いた一眼カメラを見せてくれる方がいて、写真も何枚か見せてもらったのですが、その中には光を感じられるフレア感のある優しい写真もありました。また、ソフトフィルターやブラックミストフィルターを使って、シネマチックであったり、情緒的であったりという表現をされている方も見かけます。
そういった方にも、好んで使っていただけるのではないかなと思います。


そして、今回、HDFの作例写真を内田ユキオさんに撮っていただきましたが、内田さんには、プロダクト写真も撮影いただいています。先に掲載しているプロダクト写真も、内田さんに撮っていただいたものです(GRとコーヒーカップのは除く)。

 
さらに、GR III HDF、GR IIIx HDFでは2つの新機能を入れています。

・カスタムしたホワイトバランスを3つまで保存できるようになりました
・中央3×3の測距エリアを任意に移動させることのできるゾーンセレクトAFを追加しました

GR III、GR IIIxをお使いの皆さんには、機能拡張ファームウエアとして提供させていただきたいと思います(HDFはファームウエア機能ではないのでごめんなさい)。

 
また、今回はさらに、3人の写真家さんにHDFモデルで作品を撮影いただいています。

中藤毅彦さんは、モノクロで夜の東京を、
岩倉しおりさんは、冬の自然の美しさを、
Samuel Lintaro Hopf さんは、日常のなにげないシーンを、

三者三様に、それぞれの作風で表現されています。
日常のふとしたシーンでも光が強調されることで生まれる非日常感から来る物語を感じることができます。

3人の作品や新機能の詳細は製品ページご覧ください。
皆さんも、HDFでいつもとちょっと違う世界を楽しんでいただければと思います。



そして。
明日3月29日(金)の夜、HDFモデルをテーマにしたオンラインイベントをやります。
ゲストに、中藤毅彦さんと内田ユキオさんをお迎えして、HDFのお話をしていただく予定です。金曜の夜ではありますが、どうぞご覧いただければと思います。


<GR TV スペシャル生配信>
~中藤毅彦さんと内田ユキオさんが語るGR III・GR IIIx HDFモデル~


■日時:2024年3月29日(金) 19:30より(19:15から配信開始します)

■YouTubeライブ配信
配信アドレス https://youtube.com/live/-0uoKN6TjnI
※アドレスの変更が生じた場合には、再度お知らせいたします。
※後日アーカイブ配信をおこないます。

■ゲスト:中藤毅彦さん、内田ユキオさん


次回はPart 2として、今回のHDFの開発に携わった開発者インタビューを通じてその効果を深掘りしたいと思います。

※「RICOH GR III HDF」「RICOH GR IIIx HDF」の発売日や販売方法に関しての詳細はリリース文をご覧ください。


(大久保)

 

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