【GRist】Vol.66 Ryu Ikaさん

2024.06.26 BLOG

GRist 66人目は、Ryu Ikaさんの登場です!

2021年に開催したオンラインイベント「GR SNAP WEEKEND」のプログラム「GR座談会」に出演していただいたRyu Ikaさん。

学生のころから、ずっとGRを愛用くださっていて、LOEWEキャンペーンでの北野武さんや柄本時生さんの撮影時や、今年7月に発売となる菅田将暉さんのCDアルバムのジャケットイメージ作品もGRで撮影されたとのこと。

フラッシュとGRの組み合わせで独特の世界観で作品を撮り続けている若手写真家さんです。

***

初めてGR IIを手に入れたのは2017年の夏ごろ。当時は学校では暗室の授業があり、学生たちにみんなマニュアル的なフィルムカメラが渡され、しばらくの間それで撮影していました。しかしそのカメラを使う目的のひとつとしては、写真撮影の技術を学ぶことであり、いかに丁寧にピント合わせして、絞 り、シャッタースピード、そしてISOをどううまく配合するかという、写真そのものよりも、その一連の操作の方を重要としている気がしていました。被写体を観る、撃つ、偶然と出会う興奮を覚えるような、私が求めている「写真」ではありませんでした。写真は難しいなぁと思っていました。

そのタイミングでGRというカメラの存在をたまたま知りました。GRを買った日、帰り道に無限にシャッターを押し続けていました。自分は無敵だ!とそのカメラを手に持って思いました。その興奮が、未だに忘れられません。そのあとすぐにベトナムに行ったり、内モンゴルの実家に戻ったり、交換留学でヨーロッパを回ったり、エジプトに行ったりして、ずっとGRを手に持って撮り続けて、ほぼ毎日バッテリー3本を消耗し、一日500~1000枚の ペースで撮影していました。何が写っているかということより、とにかく「撃つ」行為にハマっていたのかもしれない。その時の自分はたまたまGRに出会っていなければ、今の写真家としてのRyu Ikaも存在しなかったんだろうな。

自分は多分、カメラを「物」としてコレクションするとか、見た目のおしゃれさというものより、写真を作るのが好きな人間です。「カメラのことを考えたくない!」の話を友達としたことがあって、その友達から「カメラのこと考えたくないから一生懸命それができるカメラを探すんだ」と、名言をいただきました。目に見えるものを全部すぐシューティングして自分のものにしたい気持ちがずっと強くて、「一眼カメラじゃなくて肉眼カメラが欲しい」みたいな話も冗談で話したことがありました。その時、誰も理解はしてくれませんでしたが(笑)。GRを使ったことによって、いい意味でカメラの存在を忘れてしまう。見た、感じた、その瞬間に撃てる、それは「肉眼カメラ」とかなり近づいているのではないかと、時々思います。

その後、2019年第19回写真『1_WALL』でグランプリを受賞した作品のメインビジュアルもそうですし、2022年LOEWEキャンペーンの時の北野武さんや柄本時生さんの撮影時や、今年7月に発売となる菅田将暉さんのCDアルバムのジャケットイメージ作品等、GRを幅広く活用させていただきました。

そんな自分の目と手の代わりのような存在が、一昨年の秋ごろ自分のミスで水没してしまいました。砂漠でも雪山でも海でも共に生きてきたカメラとさよならしてしまいました。しばらく写真が撮れなくなり、スマホで撮っても同じような興奮にならず、ほんとに自分の一部が死んでしまったように感じました。

幸いなことに、ちょうどそのころRICOH Art Gallery(2024年3月閉館)で展示をさせていただいており、縁あって、再びGR(GR III)を手にすることができました。

GR IIIは高画像数、高ISO対応、手ぶれ補正がとてもしっかりしている代わりに、内蔵フラッシュがなくなり、フラッシュが命の自分にとって少し不慣れだったのは正直一番最初の印象でした。しかしここ一年ほど使用してきまして、GR IIよりも素晴らしいシャッターの速さ、見やすくてタッチ機能がついてるスクリーン、そして外付けのストロボになることによって発光の間隔がより短くなり、GR IIの時よりもさらに使いやすくなったと実感しています。7年前GR IIを買ったばっかりの時のあの興奮と感動が蘇ったのかもしれません。

これからもGRと一緒に色んな場所へ旅立って行きます。「写真」を作りたいあなたも、GRにしてみてはいかがでしょう?
  

 
 
Ryu Ika
写真作家。内モンゴル自治区生まれ。武蔵野美術大学卒業。在学期間中にエコール・デ・ボザール(パリ国立高等美術学校)へ協定留学。第21回写真『1_WALL』グランプリ。2021年赤々舎から作品集『The Second Seeing 』、Newfave から『Mémos』を刊行。2023年、KYOTOGRAPHIE KG+(京都)、VOCA展(上野の森美術館)や浅間国際フォトフェスティバル(MMoP)等に参加。他個展、グループ展、パブリック・コレクション多数。

 
 
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