【SENSE】VOL.11 菅原一剛さん

2025.01.10 BLOG

 
植物分類学者牧野富太郎博士の植物標本には、他の植物学者のものとは異なる美しさと生命感があり、美意識すら感じます。
標本は現在、植物学という学問のための貴重な資料として大切に保管されていますが、
ぼくは博士の標本ひとつひとつの美しさを、肖像写真を撮るかのような眼差しでもう一度光を当て蘇らせたいと願いました。
それを、今回ご協力いただいた藤川研究員(高知県立牧野植物園)、竹内一氏(高知新聞)は、新しいボタニカルアートと称してくれました。

その写真は、博士の生誕160歳の誕生日(2022年4月24日)に高知新聞をピンク色に染め、博士の平和に対するメッセージとともに高知の16万世帯に届けられました。
この企画が実現したとき、この活動はこれで終わらせず、続けていくべきだと確信しました。

残念ながら、いまだに戦争は続いています。
コロナ禍も経て、誰もが平和の大切さ、日常の大切さを強く感じているはずです。


植物に感謝しなさい。
植物がなければ人間は生きられません。
植物を愛すれば、
世界中から争いがなくなるでしょう。

牧野富太郎


牧野博士は、植物を見つめながら、人々や世界の平和を願っていました。
ピンク色の新聞に載せた博士の言葉を、ぼくの標本写真とともに、広く伝えていくこと。
それは、ぼくにとって新しい試みであり、ぼくなりのささやかな平和運動です。

この活動が人々の心に何かを残せることを願って続けて行きます。





菅原一剛
1960年生まれ。大阪芸術大学芸術学部写真学科卒。
早崎治氏に師事後、フランスにて写真家として活動を開始。個展を多数開催するほか映画の撮影監督も手掛ける。1996年に撮影監督を務めた映画『青い魚』は、ベルリン国際映画祭に正式招待作品として上映される。2004年フランス国立図書館にパーマネントコレクションとして収蔵されるほか、韓国のハンミ写真美術館にも作品が収蔵される。2005年ニューヨークのPace/MacGill Gallery にて開催された『Made In TheShade』展にロバート・フランク氏と共に参加。2005年アニメ『蟲師』のオープニングディレクターを務めるなど活動は多岐に渡る。2023年青森県立美術館にて個展「発光」を開催。同年2月『MAKINO 植物の肖像』(北隆館)を刊行し、7月高知県立牧野植物園にて同名の『MAKINO 植物の肖像』展を開催。日本赤十字社永年カメラマン。大阪芸術大学客員教授。
https://ichigosugawara.com/




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