こんにちは、かつです。
CP+ 2019では多くの方々に弊社ブースにお立ち寄りいただきました。ありがとうございます。タッチ&トライにてGR IIIをお手にとって頂いた方からも色々なご質問を受けております。
GR Officialでは新製品について順次トピック記事を紹介していきますね。
今回は、スナップシューターなGRの使い方としてはちょっとレア。
GR IIIを三脚に固定した星空撮影の映像を元に、「高感度ノイズ」や「長秒露光(バルブタイマー)」といった過去機種からの進化点・改善点について紹介させて頂きます。
ライターレビューの2回目のネタがこれ?と思う人もいるでしょうが、そこはGR Officialのユニークなところ、お付き合いください。
2月8日(金)~ 2月10日(日)「星を観て、星を撮ろう。 神津島で星空撮影会ツアー」に参加して星空撮影の講師をしてまいりました。
こちらの記事末尾で告知していたツアーです。
ツアーの様子はこちらです。(まとめてしまいすみません!このご報告もかねがねでライターレビューの2回目ネタが星へ)
持参カメラのメーカー問わずなツアーにも関わらず、世代を超えたGRがちらほら。GR tripにもなったかも!
都内では降雪もあったお天気の中、少しも晴れないと思われた夜間撮影の時間帯。
雲を透かして明るい冬の星座がみえるというラッキーにも恵まれました。
どちらも GR II+ワイコン 35mm換算21mm F2.8 ISO3200 20sec WB 4200K
GR II+ワイコン 35mm換算21mm F2.8 ISO3200 30sec WB 4200K
と、ここまではGR IIでの撮影です。
はい、皆様のご興味はGR IIIですよね。
実は、ツアー参加者の皆様より一晩早く現地入りしており、そのときに雲の少ない星空をGR IIIで撮影できていました。
神津島って凄いんです。まずはその環境の凄さを。
GR III F2.8 ISO6400 20sec WB 4200K M3B3 、キー+2、コントラスト(暗部)+2、
カメラ内RAW現像にて、キーを+2して全体を少し明るめに、コントラスト(暗部)も+2にして地上の様子も少し明るくしています。
WBは4200K M3B3としています(が、暗くて色がないのであまり効果は出ていませんね)
物 凄 く 真 っ 暗 !
画面中央下、灯台の光の上から右上へ向かって流れる淡い冬の天の川(天の川銀河の中心と反対方向)がわかります。
カメラの視線を、淡い天の川に沿ってもう少し右上に向けてみた空が以下です。
GR III F2.8 ISO12800 20sec WB4200K キー-2
露出オーバー気味であったため、キーを-2にしてカメラ内RAW現像をしました。
前述の冬の天の川の延長線にある冬の大三角やオリオン座がわかります。
GR IIIとなって手振れ補正機構がつき、ローパスセレクターの設定が可能となりました。
ローパスセレクターの設定を強とすると、ローパスフィルターレス機で星を撮影した場合に発生する偽色が抑えられ、青白いシリウスやオレンジ色のベテルギウスなどの色がよくわかるようになりました。
以後の撮影データもすべてローパスセレクターの設定を強としています。
ISO感度12800は、高感度ノイズ耐性が強いフルサイズセンサー機ですら滅多に設定しません。この設定のまま撮り続けることはさすがにツライのでISO 6400 まで設定を抑えて撮影を続けてみました。それでも、APS-Cサイズのセンサーを搭載するカメラでは滅多なことではしない設定値です。
星の動きがやや目立ちますが、シャッター速度は30秒として、少しでも写真の明るさを稼いでいます。
地上がオレンジ色の街明かりをうけている方向へカメラを向けた結果が以下となります。
GR III F2.8 ISO6400 30sec WB 3700K M2B4
こんな高感度の設定でもけっこう絵になっています。概ねGR IIのISO3200で撮影した高感度ノイズに近しいですが、ちょっと良い画質かも。
正直、これだけ暗いとGR IIを取り出すまでもなく差が歴然という環境でした。
画面中央にある十字架の建造物は高さが10mくらいはあるでしょうか、とても大きなものでした。
この撮影地では、オレンジ色の街明かりが強いだけでなく、なんらかの建造物の高さを航空機にお知らせするためと思われる2つの赤い光も強く光っています。物凄く暗いだけでなく、色が極端な複合光源がある・・・とてもカメラには過酷な環境です。
この赤い光が十字架に当たる側から、北極星と北斗七星を絡めて撮影を行ってみました。
GR III ISO 200, F2.8 20min(=1200sec) WB 3700K M2B4
GR IIIの最長露光時間は20分に延長されました。このような暗い環境ならば星の光跡を1枚で撮影することもできます。
あまりにも暗すぎる撮影地であったためISO感度を200まであげています。
カメラをマニュアルモードとし、ADJ/露出補正レバーでシャッター速度を「BT(バルブタイマー)」にあわせて頂くと、
コントロールダイヤルをまわすことで 最長20分までの露光時間を選べるようになりました。
夜空が青みがかり、十字架や雲が赤味がかっていることから、
カメラ内RAW現像をして、新しく追加された「ハードモノトーン」の映像も作ってみました。
一つ前の写真をハードモノトーンでカメラ内RAW現像した結果です。
ハードモノトーンは、赤色フィルターをかけてモノクロームフィルムの撮影をしたような結果が得られます。日中の風景写真などで大活躍すると思われるのですが、星景写真に使っても面白いようです。
一般的なモノクローム写真でコントラストを強くするケースとは異なる明暗の配分のモノクロームが得られました。
高感度ノイズの許容範囲は個人により異なるものですが、私個人の場合、GR/GR IIの高感度画質の許容がISO 1600まででした。そして、その許容を超えるとノイズの増え方が大きかったと感じています。
GR IIIでは、ISO3200までが許容と感じます。ISO3200では太刀打ちできないほど暗い空なので、さらに1段設定をあげたにも関わらず、許容を超えた設定にしても極端なノイズの増え方をしていません。GR IIと比べると粘りがあります。
今回のGR III星空撮影の紹介は、暗い撮影地の例までです。
GR IIIの高感度ノイズ耐性向上具合や、ローパスセレクタ、バルブタイマーといった新しい機能のつかいかたを知っていただけたら嬉しいです。
今回の撮影地はカメラには少々過酷するぎる空でしたので、他の撮影地での作例も増やして紹介していきます。
GR IIIでは都市星景に便利な「インターバル合成」についても変わった点が多くあります。それらについてはまた別途、詳細な解説記事をかきますね。
(かつ)