GR III in Paris ー 菅原一剛さんとロケを振り返って。
管理人のまちゅこ。です!
スペシャルコンテンツの第二弾は、パリでGR IIIカタログの撮影をしていただいた菅原一剛さんと、その撮影に同行した野口のゆる~い対談です。
3月中旬、快晴のこの日。場所は都内でもパリっぽい雰囲気のカフェのテラス席。ロケの休憩でも何度か飲んだというディアボロマントを飲みながらスタートです。
こちらがディアボロマント。ちょっとほろ苦さとスッキリ感がある不思議な味(メロンソーダに見えますが)
野口(以下:野):撮りましたね、早朝から夜遅くまで毎日。あっという間でしたね。
菅原(以下:菅):撮りましたね。でも楽しかったですね。
野:実はGR IIIのカタログイメージは最初から結構具体的に持っていたんです。「かけがえのない一瞬を」とか「記憶を呼び覚ますリアルな~」とか、どのカメラにも使えそうな飾り文句の意味ってなんだろう?というのがあって。そして、その挑戦を、ぜひ一剛さんと一緒にできたらなと。
菅:僕も、カメラのカタログの仕事をするとは思っていなかったですよ。野口さんから話を聞いたときに、それならやってみようかなという気になりました。
野:ロケ地をパリに選んだのは?一剛さんが若いときにパリに住んでいたのは知っていましたけど。
菅:まだ写真の入り口らしきものを見つけたパリをもう一度撮ってみたらという興味もありましたけど、芸術が生活の中に溶け込んでいる街で、光というものをもう一度探してみたら、何かを伝えることができるかもしれないと思ったんです。
野:菅原さんのブログに、とても細かく書いてくれているので、カタログのメイキング的なことのほとんどはそちらを読んでもらうのがいいと思うので、今日はできるだけ、そこに書かれてないことを(笑)
菅:あ、そうですね(笑)
野:ニエプス、ジベルニー、ルーブルも回りました。カタログの水草の写真はジベルニーの蓮池の脇を流れる小川です。
菅:シャッター速度1/15秒で揺らぎを見つけた時ですね。観光客が多い蓮池の外れで、何枚も撮りました。
野:古いレコードショップにフラッと入って撮らせてもらったり、店じまいするというバイオリン修理屋のおじさんと仲良くなったり。
菅:行く先々での人との出会いが旅の楽しさでもありますからね。
野:ルーブルでは、脇目も振らずにギリシャ彫刻の部屋へ行きました。というか、他は見てない(笑)
菅:パリにいた時にもよく通ってました。とにかくあそこは自然光が綺麗です。権威の象徴ではない表現のための彫刻を、光が差し込む部屋で眺めているのは本当に心地よいものです。
野:シャッターチャンスという意味でも、たくさんの偶然や幸運がありました。
菅:写真は偶然を見つけるもの。その偶然が必然に変わった時に写真が生まれまれると感じています。そして面白いことに、偶然や幸運って日常的に準備というか、どこかで思い描いていないと訪れてくれないような気もします。
野:準備ですか。
菅:社会を中心とした日常への興味とか、美しいものを感じるとかの好奇心のような心の準備もあるし、当然、それ相応の機材の準備もあります。今度のGRは今回のような、なにかを探していくような撮影には、とても向いていたと思います。
野:そんな偶然との巡り合わせが多すぎて、カタログに載せられなかった素敵な写真の数々を、明日から写真展で見ていただけますね。修理屋のおじさんやギリシャ彫刻なども含めて。
菅:写真はプリント、と言ってきましたし、その考えはこれからも変わらないと思います。今回、銀座のプリントは「写真弘社」さんによる新しいデジタル用のバライタの印画紙を、従来の銀塩写真のようなかたちで暗室処理し、デジタルと銀塩の融合によるモノクロームの重厚な仕上がりを追求しました。これまでデジタルプリントには限界があると思っていましたけど、プリント見本を見た時に、大袈裟なようだけどこれからの写真に対して、大きな可能性を感じたんです。
野:プリントにこだわる一剛さんがそこまで言うとは。それで、デジタルゼラチンシルバープリントという名前で呼んでいるのですね。
菅:そういえば、パリで撮らせてもらったバレリーナに、写真をプリントして送ろうかと思っているんですよ。今回本当にプリントがキレイに出来たから。撮影のときは、きっと彼女、こんな小さなカメラで自分を撮影するの?という気持ちが少なからずあったんじゃないかと思うんですよね。
野:確かに、最初戸惑っている感じでした。
菅:拍子抜けしたと思います。でもね、きっとこのプリントを送ってあげたら、ビックリすると思う。あのカメラで撮った写真?!って。
野:それはいいなあ。ぜひ見てもらいたいですね。
野:カタログのことに話を戻すと、みなさん、写真集のようだと言ってくれてます。
菅:写真集ですか。それは嬉しいですね。写真を見て、そこに写真集といえるようなストーリーを感じてもらえているのですかね。
野:そうだと思います。そして、文字が無いことも、きちんと理解してもらえている。これだけの写真に、言葉をつける必要はないし、つけられないだろうね、というコメントもよく聞きます。伝えたいことが、確実に伝わっているとしたら、すごく嬉しいです。
菅:そうですね。今回の写真展でも、そのプリントのチカラをぜひ体感してもらいたいです。土日のトークショーでは、そのへんの話もしたいと思います。
野:ボクも行きます!楽しみです。
~ロケ撮影 菅原さんオフショット紹介~ photo by NOGUCHI
ニセフォール・ニエプスによる世界初の写真≪ル・グラ★からの視点≫が撮影された部屋で
田舎町の教会で
夕闇のマレ地区
今回、菅原さんと野口がお話しされている場に同席させていただきましたが、菅原さんは、お話しし始めると、とにかく出し惜しみせずに、思うことをそのまま話してくださるので、聞いているとどんどん引き込まれ、、、とても興味深かったです。(ここには書けないようなお話しもたくさん!)
その中で、菅原さんが「結局、人が一人でできることなんて、たかがしれているんだよ。」と言われていたのは、とても印象的でした。
いろんな人との良い出会いや偶然にいつも巡り合うことができるのは、菅原さんのそんな謙虚さと感謝があるからなのかなと思いました。
そしてそして、話の中にもありました菅原一剛写真展「In Paris」が本日よりリコーイメージングスクエア銀座とリコーイメージングスクエア新宿でスタートです!もちろんどちらもGR IIIで撮り下ろした作品たち。
銀座はモノクロ中心、新宿はカラー作品中心の構成ですので、ぜひ両方をご覧いただきたいです。(終了日が異なりますのでご注意ください)
銀座は通常有料ギャラリーですが、この会期中はオープン後初の無料公開。
そして、この週末には、銀座(23日 14時~)と新宿(24日 14時~)でそれぞれトークショーもあります!
カタログやWEBでは掲載できなかった写真がたくさんありますので、ぜひ!
私も行かなくちゃ!
パリで菅原さんが撮影された作品より
(まちゅこ。)