GR IIIレビュー インターバル合成(かつ)

2019.04.16 BLOG

こんにちは、かつです。

今回は、こちらの記事末尾でも予告していた
「インターバル合成の新しくなったポイント」について紹介しますね。

まずは肝心の画質について。
GR III製品ページの「表現力」で使われている作例を大きめに見て頂きましょう。

ISO200, F2.8, 4sec, WB 4000K, ローパスセレクタ強 787枚(約1時間)の光跡

星好きの方々がまず気づかれる点は“星の光跡の色”が良くでている点だと思います。
インターバル合成がはじめて搭載されたのは2011年10月発売の GR DIGITAL IV でした。
この機種にはローパスフィルターがあり、星の光跡の色がよく出ていました。

APS-Cサイズセンサーを搭載したGRとGR IIでは、ローパスレスとすることで全体的な映像の精細さが増したものの、背景と輝度差のある細い光の軌跡に色モアレがでやすくなっていました。
緩和策として、インターバル合成で撮影されたデータには色モアレ対策の画像処理がなされており、映像全体としてみたときにやや色が浅い仕上がりだったと思います。
参考までに、こちらの記事をご参照ください。

一方GR IIIでは、SR機構を搭載したためローパスセレクタの機能で色モアレを低減できます。このため、インターバル合成で撮影された画像の色モアレを低減させる特殊な画像処理も不要となりました。
星の光跡と景色のどちらも、とても色がよく出ています。ローパスセレクタの設定を強とすると、程よいローパスフィルターを搭載した機材と同等の効果が得られます。

さらに、映像の右下と左下を等倍で切り出した画像をご覧ください。

GRレンズらしく、絞り開放であっても画面の隅々までしっかりとした像が得られています。右下については川に浮かんでいる荷物を載せたフロートが左右に揺れている点ではなく、その背後にある、橋のディティールについて着目して頂ければと思います。


続いて、操作方法(機能の呼び出し方と詳細設定項目)についてです。

インターバル合成機能の呼び出し方は「ドライブモード」からとなりました。
「ドライブ/右ボタン」の機能割り当てを変更していない方はこのボタンから、機能割り当てを変更した方はMENUの「ドライブモード」から機能を呼び出すことができます。

既にインターバル合成の諸設が画面に表示されている値で問題ない場合は、このままOKボタンを押してライブビュー画面に戻ったあと、シャッターボタンを押すという操作だけで、撮影を開始できるようになっています。


詳細な設定は以下4項目となっています。

・撮影時間
・開始トリガー
・撮影開始時間
・途中経過保存(従来名称「画像保存」と同じ機能)

ここでまず説明しなければならないのは、「撮影間隔」という項目を無くした点です。
これまでのGRインターバル合成における「撮影間隔」を「最短」に設定した場合の振る舞いのみ行えるようにしました。「撮影間隔に誤った設定をしたために星の光跡を撮影できなかった」というようなトラブルを無くすためです。
インターバル合成機能は、連続した「星の光跡」や「蛍の光」を撮影するような用途に特化しました。

削減した項目がある一方で「撮影時間」という項目を追加しました。
こちらは、「どれくらいの長さの光跡を撮影するか10分刻みで指定できる項目」です。
枚数指定ですと、シャッター速度によって設定値を計算しなければならず扱いにくいので、時間で光跡の長さを指定できるようにしています。
この項目は、従来のGRのように制限なし(手動の終了、もしくは、電池を使い切るまで)の「∞」という設定も選べます。

「開始トリガー」「撮影開始時間」は1ペアの項目です。
こちらは上級者向けの項目ですので、大半の方が変更しなくても問題ありません。
星の位置は事前に計算できますので「この景色と共に、何時何分から○○分間の光跡が撮影したい」というシミュレーションができる方に便利な機能です。

「途中経過保存」は名称を見直した項目です。
この設定によってできることは過去のGRと同じですのでご安心ください。

・元画像保存(旧「1枚づつ保存」)
 →最終結果に加え、合成の元となったJPEG画像全て
・合成画像保存(旧「途中経過保存」)
 → 最終結果に加え、撮影する度に合成したJPEG画像全て
・オフ
 → 最終結果のみが保存されます。

となっています。
それぞれの用途については、過去GR BLOGのこちらの記事こちらの記事をご参照ください。


ちょっと休憩の意味をこめて、別のインターバル合成の作例をはさみつつ。

ISO200, F2.8, 4sec, WB 4000K(M3A4), ローパスセレクタ強 578枚(約44分間)の光跡

満充電した電池ひとつで、どれくらいの期間撮影ができるか実験してみました。
露出設定や温度により結果は変化します。あくまで参考値としてご覧ください。


・常温21℃ "途中経過保存なし"、ローパスセレクタ強、 F2.8 ISO200 4秒露光設定で
 → 2時間32分41秒(2026枚)
・常温20℃ "途中経過保存あり"、ローパスセレクタ強、 F2.8 ISO200 4秒露光設定で
 → 2時間33分53秒(2039枚)

まで撮影できました。
画像保存の状態は、電池もちにほとんど影響しないようです。

つづいて、低温での実験結果です。
春になって暖かくなってきたこともあり、GR IIIを冷蔵庫に入れて実験してみました。
電池を入れたGR IIIを電源オフ状態で45分ほど冷蔵室に放置したあとに撮影開始しています。

・低温10℃ "途中経過保存あり"、ローパスセレクタ強、 F2.8 ISO200 4秒露光設定で 
 → 2時間18分43秒(1825枚)

さすがに常温より撮影できる枚数が減りますね。それでも2時間は越えています。
ものすごく電池もちのよかったGRやGR II(5時間40分間も撮り続けた例もあります)と比べるとつらいものがありますが、
一般的なレンズ交換式カメラのインターバル撮影で、比較明合成の素材撮りをするケースと似たような電池もちかと思います。

どうしても長い時間の撮影を行いたい方は・・・
あくまで私個人が試したという範疇でのことなのですが、Anker社が3月末に発売したばかりのPD対応モバイルバッテリー新製品PowerCore 10000 PDですとこんな感じでした。
背面液晶右下にコンセントの形状のアイコンがでていますので、外部給電動作ができています。

PDへの対応状況が各社様々な状況のため、同じ会社であってもラインナップが異なると振舞いが違うケースがあるようです。
今回の組み合わせでは、たまたま給電動作ができたという一例ですが、ご参考まで。

(かつ)

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