10月10日、GR IIIの機能拡張ファームウエア バージョン1.30 が公開されました。
今回、機能追加になった項目は以下のとおり。
・イメージコントロールに、クロスプロセスを追加しました。
・ADJにクロップ、タッチAFを登録できるようになりました。
・Fn ボタンに、タッチAFを登録できるようになりました。
今回は、この中でも「クロスプロセス」について説明します。
GR III, P mode, 1/800s, F5.6, ISO200
クロスプロセスは、GRシリーズ特有の画像仕上げという印象が強いかもしれませんが、実はこの機能をリコーカメラで最初に搭載したのは、僕が過去に企画担当した2010年発売のCX4というモデルになります。
画作りの方向性としては、その名の通り、銀塩フィルムのクロス現像処理(ネガフィルムをリバーサル現像、あるいはリバーサルフィルムをネガ現像する方法)をイメージしていますが、具体的なフィルム銘柄や現像処理のモデルがあるわけではありません。
当時の画質設計担当者と、何パターンも試行錯誤を繰り返し現在の色調に落ち着いた経緯があります。
その後、GR DIGITAL IIIの機能拡張ファームウエアでの採用を皮切りに、GRシリーズでも採用するようになりました。
GR III, P mode, 1/250s, F4.0, ISO800
GR IIIのイメージコントロールのプリセット項目には「レトロ」があり、こちらもノスタルジックな印象の仕上げを意図したものになりますが、「クロスプロセス」は、独特な色の転び方ゆえ、より幻想的な撮影表現にマッチすると思います。
さて、幻想的と言えば、あわせておすすめなのが多重露出撮影。
銀塩カメラでは古くから故意にフィルム送りをせず、複数の画像を1コマに重ね合わて撮影するテクニックがありますが、GR IIIではそれをデジタルで再現できてしまいます。
「夕暮れの空」「自分の影」「道端の花」の3枚を多重露出撮影しました。
GR IIIでは1コマごとに撮影続行するか、撮り直しするかの選択ができるため便利。データはRAW保存も可能です。
当然ながら「クロスプロセス」は、GR IIIのRAWデータであれば、過去に撮影したものであってもカメラ内RAW現像に対応しています。
さらにRAWデータからは、プリセットの画作りをベースに、彩度、色相、キー、コントラスト、シャープネス、色調、シェーディング、明瞭度の各項目を変更し、自分好みの仕上がりに調整することが可能です。
(あらいた)