GR IIIのイメージコントロール項目のひとつに「HDR調」があります。
GR IIでも、エフェクトの中にあるのですが、意外と使ったことが無い人、多いのでは?
HDR(High Dynamic Range)とは文字通り、画像のダイナミックレンジを増大させる技術です。
デジタル写真の世界では、露光量を変えて複数枚の撮影を行い、画像処理時にそれぞれの画像から適正露出に近い部分を抽出し1枚に合成することをHDR合成と呼びます。
GR III, P Mode, 1/60s, F2.8, ISO800, HDR調。オランダ アムステルダム中央駅にて。
かなり明暗差の激しい環境ですが、アーチ型の屋根の構造などが黒つぶれせず残っています。
さて、GRの「HDR調」は、複数枚撮影は行わず、1つのRAWデータから画像を生成します。その意味では、本来のHDR撮影とは少し異なる...ので、名称も「HDR"調"」としています。
HDRと聞くと、こういう描写を思い浮かべる人多いでしょう。
絵画的で、どことなくドラマチック。
とくに雲を画面内に入れると、何かが降りて来そうな神々しさといった印象もあるかもしれません。
さて、HDR調の使い道は、このように絵画的な仕上げにするだけではありません。
GR IIIでは、「彩度」「色相」「調色」「HDR調効果」の項目をそれぞれ調整することができます。
たとえば、「調色」で白黒やセピアを選び、「HDR調効果」を2程度までに抑えることで、シャドー部のディテールを強調したモノトーン仕上げも可能です。
GR III, P Mode, 1/200s, F3.5, ISO1600. 冷たい雨の中、クリスマスツリーの前を横切る人を"待って"撮影。
イメージコントロール「HDR調」でRAW現像。濡れた路面の描写などにHDR効果があらわれています。
GR III, P Mode, 1/160s, F3.2, ISO800. アムステルダムの路地にて。
イメージコントロール「HDR調」でRAW現像。石畳のレンガや木製扉のディテールが印象的です。
いかがでしたでしょうか、「HDR調」。
普段あまり使わない設定かも知れませんが、これを機会にトライしてみてはいかがでしょうか?
(あらいた)