あらいたです。
前編に引き続き、GR III Street Editionについてお伝えしていきます。
今回の特別モデルにあわせ、ファームウエアがアップデートされます。
これにより、シャッターボタンの一気押しに加え、背面液晶のタッチ操作でもフルプレススナップ撮影が可能になります。
GR III, M mode, 1/80 sec., F4.5, ISO160, Snap Focus Distance 2m
まずはこの機能の前提となるスナップフォーカスについて、ここであらためて紹介します。
GRのピント合わせの手段を大別すると、AF(オートフォーカス)、MF(マニュアルフォーカス)、そしてSnap (スナップフォーカス)の3種類があります。
3つ目のSnapというのは、6つのピント位置(1m, 1.5m, 2m, 2.5m, 5m, ∞)の中からどれかを選んで撮影するフォーカス設定です。
スナップ撮影距離のメニュー画面。工場出荷時の初期値は2.5mに設定されています。
..と聞くとずいぶんと荒っぽい方法に聞こえるかもしれませんが、絞り値をうまく選んで使うことで、十分にシャープな撮影ができます。
GR IIIのフォーカス設定を[Snap]に合わせ、露出モードをAv (絞り優先AE)で使うと、画面左側にフォーカスバーが表示されます。この時に緑色で表示される領域がピントの合う範囲(被写界深度内)であることを示しています。
スナップ撮影距離2mの時のフォーカスバー表示。撮影距離の選択は、背面チューリップアイコンのボタンを押しながら前ダイヤルを回すと簡単です。
たとえば、スナップ撮影距離2mを選んで、絞り値を変えていくと、F8.0の時に緑色の部分の下端が1のあたり、上端は∞にまで達することが判ります。
これは、およそ1mから無限遠までが被写界深度に収まる、ということを示しています。街撮りでよく利用する撮影距離ですね。
スナップフォーカスは、当然ながらピント位置検出のためのタイムラグが一切ありません。
つまり、撮りたい時にすぐ撮れる。
この機能がストリート写真に強い理由はここにあります。
このスナップフォーカス動作のトリガーとして、シャッターボタンを一気押しすることで対応したものが、フルプレススナップ機能です。
さて、フルプレススナップ、慣れればとても快適なのですが、シャッターボタンを2段階で押す行為が習慣になっており、一気押しに対して少々抵抗がある人もいる、というのも確かです。
また、GR IIIでは、背面Fnボタンに[AF作動]を割り当て、シャッターボタン設定を[AEロック]にすることで、いわゆる“親指AF”の状態にカスタマイズできるのですが、その場合、機構上フルプレススナップを行う手段がありませんでした。
今回の機能拡張では、これらのボタンがどのようにカスタマイズされていても、”背面液晶タッチで即レリーズ” が可能になります。(マクロモードは解除してお使いください)
カスタマイズ設定のメニュー項目[タッチAF]の中に、新たに[フルプレススナップ]が追加されます
カスタマイズの一例として「AF撮影はシャッターボタン」「スナップ距離での置きピン撮影は背面液晶」とすれば、レリーズの手段が別個になり、常にどちらで動作するかを把握しながら撮影できる安心感という効果もあると思います。(逆の要領で、「Snapをシャッターボタン」「AFを背面液晶」に割り当てるカスタマイズも可能です)
この機能を搭載したファームウェアは、機能拡張ファームウェアとして後日ダウンロード用に公開しますので、通常のGR IIIをお持ちの方でもアップデートにより使えるようになります。
GR III, Av mode, 1/160 sec., F5.6, ISO160, Snap Focus Distance 5m
タッチ操作にも対応し、カスタマイズの幅が拡がったフルプレススナップ機能。
今まで使用頻度が少なかった人も、これを機会に使いこなすようにしてみてはいかがでしょう?
以上、GR III Street Editionに関して2回に渡ってお伝えしました。
この記事を書いている2020年6月初旬時点では、世界の多くの地域で新型コロナ感染症の影響は続いております。
どうやら、この脅威とは今後もうまく付き合っていくしかないのかもしれません。
街に出る際は、自分や周囲の健康にじゅうぶんに配慮しながら、ストリート撮影を愉しむようにして行きたいと思います。
※GR III Street Edition 製品ページも合わせてご覧ください。
(あらいた)