あらいたです。
今回のタイトルは、1940年前後のニューヨークを舞台に活動した、報道写真家 Arthur Fellig、通称 ウィージー (Weegee) の言葉を拝借しています。
"f/8 and Be There" の「f/8」の部分の解釈としては、字面通りに絞りF8.0で撮りましょう...ではなく、シャッターチャンスに遭遇したら、あれこれ技巧に頼らず、撮る行為に集中しようぜと捉えるのが正解のようです。
広角~準標準域のレンズだと、5m前後にピントあわせをすれば、数歩先から遠くの背景まで被写界深度に収まるようになるのがF8くらいの絞り値です。
いわゆる、パンフォーカス撮影。
ピンボケの失敗を回避できるメリットがある一方、ボケを利用して主被写体を際立たせるようなワザは使えません。
目の前の光景をストレートに写真に収める、それがF8ということになりますね。
GR IIIx, Av mode, 1/30s, F11, ISO640, Snap Distance 5m
「Be There」は、言わずもがなですね。
写真を撮る上で最も肝心なのは、機材よりもテクニックよりも、"その場にいる” ということ。
事件現場には警官よりも早く駆け付けて写真を撮っていた、との逸話もあるスクープカメラマンのパイオニア、ウィージーならではの含蓄のあるメッセージ、と僕は思います。
このフレーズ、日本ではあまり聞き馴染みが無いかもしれませんが、Web検索すると 多くの解説が出てきます。英文写真用語のお勉強のつもりで読んでみてはいかがでしょうか。
GR III, Av mode, 1/80s, F7.1, ISO200, Snap Distance 2m
ウィージーの影響という訳ではないのですが、僕がGRを使う時も、距離固定+小絞りで撮るケースが多いですね。
特に、ストリートスナップでは、フォーカスはSnapの1.5~5mのいずれかを選び、絞り値はF8を中心に距離に応じてF11~5.6の範囲で使い分けています。
GR III, Av mode, 1/320s, F6.3, ISO100, Snap Distance 2.5m
さて、先日公開した新ファームウエアに [スナップ距離優先モード] が搭載されました。
露出モードと聞くと、[絞り優先][シャッタースピード優先]などが思い浮かびますが、今回搭載するのは「撮りたい距離 & ピント深度に応じ、絞り値を選ぶ」という、過去よりスナップ撮影の先達に実践され続けている、古くて新しい撮影機能です。
パンフォーカス・スナップ推しの僕も、とても楽しみにしていたアップデート。
みなさんもこちらから、ダウンロードして使ってみてください。